中国の三大河川は、黒龍江(ロシア名:アムール川)、黄河、長江である。
日本では、“川”を使い、“河”は『運河』など人工的な川にしか使われず、“江”も『入り江』など“川”のイメージがない。一方、中国の“カワ・river”は『川』ではなくて、殆どの場合『江』が使われている。例外は『河』で、元々『黄河』を意味した。
なお他の国の川(カワ)は、アムールやアマゾンのように日本の習慣では『川』が使われている。
三大河川の長さは、黒龍江ですら上流部の支流を含めた全長は4,368kmで世界8位であるから、三大河川はいずれも世界的な大河といえる。
なお、黄河と長江との気象と農業の違いを示す略図が、インターネットに掲載されていた(右図)。私は黄河側(西安)と長江側(南昌、無錫、上海)に住んでいたので、この差が実感的に理解できる。
黒龍江(ロシア名:アムール川)
中国の最北端に位置し、主にロシアとの国境を流れている。夏は涼しくて快適だが、冬には凍結し荒涼とした景観となる。そして、この川から大量に流出する水がオホーツク海の塩分を希釈して凍結させ、流氷となって我が生まれ故郷網走沿岸に押し寄せる。
私は中国滞在12年の最後の夏に『黒河市』へ旅行した。大連から列車で北上すると、ハルビン駅を過ぎてから徐々に荒涼とした眺めに変化してくる。黒河市が米作の北限地とされているが、こんな寒冷地でも米が獲れるということは、品種改良の成果だろう。
黒河市には対岸が『ブラゴヴェシチェンスク市』でロシア領に接しているからか、ロシア人の観光客が市内で見られた。
黄河
中国文明の発祥地である母なる河で、私が訪れた名所は『壺口瀑布』と『三門峡ダム』である。
<壺口瀑布>黄河の流れの段差が滝になっている。水しぶきが上がり、茶色の水がごうごうと流れるさまは凄まじい。
<三門峡ダム>中国初の黄河治水事業で、中ソ蜜月時代に、ソ連の技術指導で1960年に完成した。しかし、ダムに土砂が堆積し続けて初期の期待をうらぎった。私が訪問した2005,6年前後には、治水学者や技術者の一部がこのダムの存在に反対しようとしたが、政府の弾圧を受けていたようだ(Wikipediaより)。しかし、そのような内情など知る由もない私は、壮大なダムの威容に圧倒されていた。
長江
上流から、重慶市、三峡、洞庭湖、武漢市、鄱陽(はよう)湖、南京市、そして河口に上海市がある。
洞庭湖と鄱陽湖は、三峡ダムの建設による水量不足が深刻であり、中国最大の淡水湖『鄱陽湖』は今年(2023年)、旱魃が追い打ちをかけて水位が8m以上低下していると報道されている。
琵琶湖も2023年に降水量が少なく、2023年末に水位が約80cm低下したため飲料水不足が懸念されている。それとくらべて鄱陽湖の水位がその10倍、8m以上も低下しているのは異常といえるだろう。
その後、琵琶湖周辺の降水量が多くなり、2024年6月には正常水位に戻っている。また、中国では、同時期に大雨で洪水が発生しているくらいなので、鄱陽湖の水位も回復しているかもしれない。
鄱陽湖の中央部にある水中宮殿『落星墩(とん)』の周辺は湖底の土が露出している。
なお、『三峡ダム』は、三門峡ダム以上の深刻な問題(気候変動・地崩れ・洪水/旱魃・環境汚染)を抱えているようだ。
<南京>
<秦淮河>南京市内を流れる川で、孔子廟などがあって河岸の夜景の照明が美しい。
<中山陵>辛亥革命により中華民国の初代臨時大統領になった孫文は、1925年に亡くなりその墓である。孫文は、中国(中華人民共和国)と台湾(中華民国)の両方から尊敬されている。